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わくぺめも

褒められとノー褒められの分岐

会社の朝礼では、交代で社員ひとりがスピーチをすることになっている。こないだ会社の人たちと雑談していたとき、ひとりが「わくさんは朝礼のスピーチがいつも面白いですよね」と言ってくれた。他の人たちも「あ、それいつも思ってた」「面白い」とノッてくれた。「わくさんが話してた豆知識、朝礼終わってすぐにうちのチームの人が試してましたよ」とか。

前の会社にも同じように当番制のスピーチがあったんだけど、自分がスピーチ当番をつとめる回の朝礼前には、偉い人からよく「いい? 適当でいいんだからね?」「長々喋らなくていいからね」と言われていた。その口調や表情などなどから考えると、なんというか、自分のスピーチがよく思われていないのは明らかだった。

今の会社でスピーチを褒められるたび、前の会社でかけられていたそれらの言葉を思い出す。同じようなスピーチをしていても、受け止められ方がこんなに変わるのか。こういうところで転職の影響力を実感するとは予想してなかった。

書き添えておくと、前の会社の人たちが性格悪いとかではない。前職は結構な激務がデフォルトで、自分も含め社員全員が常に疲れていた。『社員全員が常に疲れていた』って文字にするとあらためてやばいなと戦慄するけど、本当にタフな環境だったのだ。だから、起立して聴かなければならないスピーチに面白さなんて求めていられなくて、「なんでもいいから早く終わってほしい」と思わざるをえなくなっていたんだと思う。それでも自分は面白さを求めたくて、長えよって顔をされながらつらつらと喋っていたわけだけど。とはいえ心の底には、「スピーチを通して自分の人となりを知ってほしい」という気持ちもあったから、エゴっちゃエゴだったんだよな。押し通すのもほどほどにしとくべきだったのかもしれない。今となってはわからない。

今は、ネタになりそうなことを思いついたらふせんに書き足して、会社のデスクに貼っておいてる。自分にとってスピーチ当番は楽しみのひとつなので、せっかくなら聴く人たちも面白がってくれればいいなと思う。そしてできれば、前の会社の人たちが少しでも元気でいてほしいなとたまに思いを馳せている。